2010年5月2日日曜日

ハイオクとレギュラーガソリンの違い

「ハイオク」ガソリンはレギュラーガソリンとどう違うのだろうか。値段も高いことだし、なんとなく高級だということはわかるが、具体的にどう成分が違うのか。
 少し車に詳しい人なら、「オクタン価」が違う、という答えが返ってくるかもしれない。オクタン価が高いのがハイオクガソリン、その認識は正しい。しかし、「ではオクタン価とは何か」と尋ねられると、「う~んなんか濃い方がいい成分じゃないの?」と、お茶を濁してしまう人も多い。
実際オクタン価とは何だろう。
 
 オクタン価の正体の前に、よいガソリンとは何か、ということについて考えたい。
ガソリンの役目は、なにはなくとも安定した出力が得られることだ。ガソリンが原因でエンストするなど言語道断、エンジンの点火系統にも異常が起こってはいけない。 走り屋の方々は、恐らくガソリンの銘柄にもこだわることも少なくないのではないだろうか。
 そして、実はそのガソリンの良し悪し、つまりいかに安定して燃えるか、ということを指標化したのが「オクタン価」と呼ばれる数値だ。
具体的には、「耐ノッキング性能」すなわちノッキングの起こりにくさを数値化したものなのだ。ノッキングとは、燃料の異常燃焼のことだと思ってもらえばよい。適切に燃焼が行われないと、エンジンにダメージを与え、走りに悪影響を及ぼすことになる。こうした状況をいかに減らすかがガソリンに求められるクオリティだ。 
ハイオクガソリンの場合、オクタン価は96以上なければならない。スタンドで販売されているものは98~100のものがほとんどで、なかなか高性能といえるだろう。レギュラーの場合オクタン価は90から96ということが多い。
 
 さて、オクタン価の正体は分ったが、「オクタン」とは一体何なのか。
オクタンはガソリンに実際に含まれる物質だ。炭素と水素の化合物、すなわち炭化水素であり、化学式はC8H18。化学式からも極めて燃焼しやすい物質であることが容易に理解できる。
 そして、オクタンの価はガソリン中に含まれる「イソオクタン」を基準としている。イソオクタンは安定して燃焼するため、ガソリンに含まれる割合は大きい方がよい。逆に、耐ノッキング性能の低いオクタン系の物質もあり、それらがガソリン中に含まれているとオクタン価は下がる。
 
 ハイオクガソリンのオクタン価が100前後であることは前述したが、ではレギュラーガソリン車にハイオクを入れたら性能や燃費は向上するのだろうか?
これは、一概に言える問題ではない。基本的に、レギュラー車はレギュラーガソリンを入れた時に最適のパフォーマンスを発揮するよう設計されている。そのため、ハイオクを入れても性能が上がるどころか、調子が悪くなり燃費が下がってしまう可能性のほうが高い。だが、排気量の大きい車など、一部の車種ではハイオクを入れると燃費が上がるということもあり得る。実際、ENEOSヴィーゴなどはレギュラー車にハイオクを入れても問題ない、という見解を出している。(但し、これは洗浄剤、摩擦調整剤がレギュラー車にも効用があるということであり、燃費が向上するかどうかは疑わしい)
 逆に、ハイオク仕様車にレギュラーを入れたらどうなるのか?実は、よほど古い車でない限り、ハイオク車にレギュラーを入れた時の点火セッティングがコンピューターに組み込まれており、実害はないようになっている。レギュラーを入れるのは「想定済み」なのだ。 だが、もちろんハイオクを使った時と比べて燃費は悪化する。
 ハイオク車にしろレギュラー車にしろ、指定燃料を入れておくのが無難、というのが当然ながら一般的な見方のようだ。