2010年5月18日火曜日

甘柿と渋柿の見分け方

売っているものならともかく、人からもらったりこっそり失敬してきた柿を食べるのはある意味賭けである。 甘いか渋いか、正にロシアンルーレット。甘けりゃ天国渋けりゃ地獄。柿は喰いたし舌は惜しし。切って皮をむいたはよいが口に入れる決心がどうにもつかない。結局家族の誰かを騙して人柱に立てたりする。 ぜーんぶ甘柿ならいいのに、一体どうして渋柿なんてものがあるのだろうか?
 
 食べるときには渋はいやなものだが、実は結構有用なのである。渋みの原因は果実の中のタンニン細胞にあるシブオールという物質。名前からして渋そうだ。シブオールが果実の中で溶けた状態だと渋みが発生する。つまり甘くするにはシブオールをなくすか溶けなくしてしまえばよいわけで、よく熟成させるとこの物質は大概無くなってしまう。 もともと大体の柿は渋柿なのだ。 そしてこの渋は昔は雨傘や渋紙など防水や防腐に使われ、今では主に染料として利用されている。
 
 さて、気になる見分け方だが、これは切って見るまで判らない。いや、種類によっては切っても判らないことがある。 しかし一応「これは多分甘いよ」という目安はある。
それは柿の切り口に黒い粒々があるかどうか、ということ。粒々は不溶性になったシブオールが固まって見えるもので、これがあると渋みが少ないことを意味する。 だが、この斑点が全くないから必ず渋いというわけでもなく、ここが難しい所だ。要するに黒い斑点は甘いことの「お墨付き」だと考えればよいだろう。 そしてお墨付きのないものは…やっぱり誰かを人柱に立てるしかない?