2010年5月9日日曜日

種なしスイカの作り方

やはり夏はスイカである。 トウモロコシや新鮮な野菜も捨てがたいが、塩を少量ふりかけながら食べる冷たいスイカは何物にも変えられない。
スイカを食べないと、「夏がきた」という実感がどうしても薄いものである。
 
 できることなら大口開けてむしゃぶりつきたいスイカだが、食べてるときにどうしても気になるのが種だ。中には気にせず飲み込んでしまうという豪な方もいるが、普通は面倒ながらも取り除くだろう。
だが、市販されているスイカの中には「種無しスイカ」というウソのようなスイカが存在する。一体これはどうやって作られているのだろう。遺伝子操作でもしているのだろうか?
いやいや、実はかなり地道で長い時間をかけてこのスイカは作られるのである。
 
 まず、種がある普通のスイカは、遺伝の性質を決める染色体が二組ある「二倍体」と呼ばれるものだ。対して、種無しスイカは染色体が三組ある「三倍体」という、種を作る能力を持たない特別な種類である。種がないので当然三倍体から三倍体のスイカは作れない。そこで二倍体のスイカを何とかして三倍体にするのだが、これにはなんと三年もかかるのである。
 
 まず一年目には普通の二倍体の種をまく。双葉が開いたときに、コルヒチンという染色体の数を倍にする作用を持つホルモンをかけて育てると、四倍体の染色体を持つ種ができる。
二年目は、四倍体の種を育て、雌花に二倍体の雄花の花粉をつけると、三倍体の種ができるのである。
そして三年目、三倍体の種をまくことによってようやく種無しスイカが収穫できるのである。
あまりに手間がかかるため、現在はなかなか入手困難なスイカだが、運良く見つけたら是非買って見るといいだろう。 そのスイカを作るのにかかった労力を考えれば、自然とありがたみがわいてくるというものである。